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砂原 粒
フォーチュンクッキー - 砂原 粒の小説 - pixiv
フォーチュンクッキー - 砂原 粒の小説 - pixiv
16,563字  16,563 字
フォーチュンクッキー  幸运饼干
「どこへでもいいから俺を拐ってくれ、カイザー」  「无论去哪里,都把我拐走,凯撒」

未来if /BM所属のカイ潔。友人である凛への恋心(凛←世一の片想い)を清算しようともがく世一と、彼のそばにいるセフレのカイザーがカーセックスする話。一部、不穏な話をしていますが2人とも元気です。シリアスからのハピエン。
未来 if/BM 所属的凯洁。为了了结对朋友凛的爱情(凛←世一单恋),世一挣扎,而他身边的情人凯撒与他进行车震。部分内容略有不穏,但两人都元気。从严肃到 HE。


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R-18腐ルーロックカイ潔腐ルーロック小説300users入り
R-18 腐 露洛克 凯洁 腐露洛克小说 300 用户入
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2025年1月30日晚上11点34分

 予定よりも取材が長引いた。夕日はとうに沈み、すべての葉を落とした木々の間で街灯が冷たく光っている。他の選手たちは何時間も前に帰宅しており、廊下の窓から見える駐車場にはほとんど車が残っていなかった。
 取材比预定时间长了。夕阳早已落下,落尽所有叶子的树木之间,路灯冷冷地闪烁着光芒。其他选手几个小时前就回家了,走廊窗户外的停车场几乎没有留下几辆车。

 荷物を取りにロッカールームに戻ったカイザーは、タオルを頭にかけたままベンチに座りこんでいる世一を見つけた。入って来たカイザーに気づいていないのか、ぼうっと遠くを見つめている。下はジャージを履いているが上は寒々しいタンクトップ姿で、身じろぎひとつしない。カイザーは眉をひそめた。空調が効いているとはいえ、今は冬だ。
 凯撒取回行李回到更衣室,看到世一穿着毛巾,坐在长椅上。好像没注意到走进来的凯撒,茫然地望着远处。下面穿着运动裤,上面却穿着单薄的背心,一动不动。凯撒皱起了眉头。虽然有空调,但现在是冬天。

 今日の世一は練習でも精彩を欠いていた。いつもならしないような凡ミスを連発し、監督からも再三注意を受けていた。こんな時間まで残っているということは、自主トレに励んでいたのだろう。自分を追いこむのは結構だが、コンディションが悪いときに無理をしてもなんのプラスにもならない。
 今天的世一训练也发挥失常。以前不会犯的低级错误频频出现,教练也多次提醒过他。这么晚还在这里,想必是在进行自主训练吧。虽然努力鞭策自己很好,但当状态不好的时候勉强自己,却毫无益处。

「んな格好で気絶してんじゃねぇ。クソ風邪引くぞ」  「你这副德性就晕倒了,别冻感冒了。」
「……カイザー……」  「……凯撒……」

 世一はびくりと肩を震わせ、ゆっくりと視線を巡らせた。思考の海に深く潜っていたらしい意識が少しずつ浮上して、カイザーの上に焦点を結ぶ。心なし目元が赤い。高負荷のトレーニングをしたあとのように頬には赤みが差していた。ふっ、ふっとこらえるように浅い呼吸を繰り返している。
世一猛地一抖肩膀,慢慢地环视四周。潜入思考海洋的意识逐渐浮上,焦点聚集在凯撒身上。眼眶微微泛红,脸颊像高强度训练后一样泛起红晕。轻轻地,浅浅地,像是抑制着什么似的呼吸着。

 手を伸ばして額に触れる。日本人より己の体温が高いことを差し引いても身体が熱かった。もう手遅れだったか。こんな時間ではチームドクターも帰宅してしまっている。
伸出手抚摸额头。即使减去日本人较高的体温,身体仍然很热。难道已经来不及了吗?这个时候,队医应该也回家了。

「送って行く」  “送你一程”

 手を取って立ち上がらせようとするが、抵抗するように強く腕を引かれた。
试图拉着他的手站起来,但他却用力拽着胳膊,似乎在抵抗。

「——いい。1人で帰れる」  「——好。一个人回去。」

 世一はそっけなく言った。  世一不客气地说。

「行くぞ。今ならまだ病院に間に合う」  「走吧。现在去医院应该还来得及。」
「………………」

 男は何も言わず、首を振って拒絶の意を表した。カイザーは二の腕をつかみ半ば強引に世一を立たせた。頭にかけていたタオルがはらりと床に落ちる。ロッカーからスウェットを取って頭からかぶせ、手早くダウンジャケットを着せる。ボディバッグを突き出すと、世一は抵抗することなく受け取った。
「 男人什么也没说,摇了摇头表示拒绝。凯撒抓住他手臂,半强硬地把他扶了起来。头上戴着的毛巾随风飘落在地。从储物柜里取了件运动衫给他套上,快速地给他穿上防风外套。递给他腰包,世一毫无反抗地接过了。"

 子供の手を引くようにしてクラブハウスから連れ出し、車の助手席に男を押しこむ。高級車のシートに身体を預けた世一は、ぼんやりとしていた。カイザーも車に乗りこみ、カーナビを立ち上げる。
「 像牵着孩子一样把他从俱乐部里带出来,把他塞进汽车的副驾驶座。世一躺在高级轿车的座椅上,茫然若失。凯撒也上了车,启动了车载导航。"

「いつものとこでいいよな? それとも直接帰るか?」
「いつもの地方可以吗?还是直接回去?」

「病院はいい。……それより前に教えてもらって、行ってみたい場所があんだけど」
「医院不错……不过,之前有人告诉我,有个地方我很想去」

 横から伸びて来た手がカイザーの手を無言で押し退ける。世一はアドレス帳を閉じ、広域マップを呼び出した。スルスルと地図を南下していった指先が一点に止まり、ダブルタップでピンを立てる。
“从旁边伸过来一只手,无声地推开了凯撒的手。世一合上通讯录,调出了全区地图。手指在上面轻滑,一路向南,最终停在一处,双击后钉上了一个定位点。”

 即座にルート検索がなされ、0コンマ数秒ののちにマップが指し示したのはオーストリアとの国境近くにある巨大なダム湖だった。目的地までおよそ1時間47分、アウトバーンAを経由するルートです。カーナビが無機質な声で告げる。
“立刻进行了路线搜索,零点几秒后,地图指向了奥地利边境附近的一座巨大的水坝湖。目的地大约一小时四十七分钟,经过 A 高速公路。车载导航以无机质的声音宣布。”

「てめぇ、ふざけてんのか」  「你是在开玩笑吗?」

 地を這うような低い声が出た。体調が悪そうだからとこちらが下手に出ればこれだ。
低沉的声音如同在地上爬行一般响起。对方看起来身体不舒服,所以我们得先低声下气才行。

「……ふざけてない」  「……我没有开玩笑。」
「ハッ、ついに人殺しでもしたか? 俺は犯罪の片棒を担ぐつもりはねぇぞ」
「哈,终于杀人了吗?我可没打算当帮凶。」

「んなことするかよ」  「我才不会干那种事。」
「そうでなければこんな山奥に何の用がある」  「如果不是,怎么会跑到这种偏僻的山区来。」
「……ここじゃなくてもいい」  「……这里也不行」
「あ?」  「啊?」
 
 苛立ちをこめて凄むと、世一は頭を後ろに逸らし両手で顔を覆った。その手が小刻みに震えている。感情を押し殺した声で男は言った。
“ 怒气冲冲地瞪着,世一将头向后仰,双手捂住了脸。他的手微微颤抖。男人用压抑住感情的声音说道。”

「家には帰れない——帰りたくない。どこへでもいいから俺を(さら)ってくれ、カイザー」
「家裡回不去——不想回去。無論去哪裡,都把我拐走,凱撒」

 

 くねくねと蛇行する一本道を上り、駐車場に車を停める。アルプスの山々を間近に臨む冬の湖は静まり返っていた夏であればハイキングやトレッキングを楽しむ人たちで賑わう場所は、時期も時期だけに閑散としている。薄くかかった雲間から差しこむ月の明かりが湖面を静かに照らしていた。
「蜿蜒曲折的單行道上坡,把車停在停車場。近距離俯瞰著阿爾卑斯山脈的冬日湖泊,靜謐無聲。要是夏天,這裡會熱鬧非凡,有許多人來這裡健行和遠足。但是,時節如此,所以顯得格外冷清。薄薄的雲層間透出的月光,靜靜地照耀著湖面。」

 自宅に連れて行くか、それともどこかにホテルを取るか。車を適当に走らせている間に考えを巡らせ続けたが、ただならぬ世一の様子が気にかかり、結局、乞われた通りこんな辺境にまで来てしまった。
「把他帶回家,還是去別的地方訂酒店?在隨意駕駛的過程中,不斷思考著。但是,世一的怪異舉動讓我擔心,最終,還是如他所求,來到這偏遠之地。」

 カイザーはハンドルから手を離し、ため息をついて髪の毛をか掻き上げる。チラ、と視線をやれば助手席に座る男は寝息も立てずに眠りに落ちていた。元々童顔だが、寝ているときはさらにその幼さが際立つ。
凯撒放下方向盘,叹了口气,抓了抓头发。瞥了一眼,坐在副驾驶的男子睡得很死,没有发出一点声响。他本来就童颜,现在睡觉的时候,幼态更加明显。

 もうすぐ20代も後半に差し掛かるとは思えない子供っぽい寝顔だ。正直に言ってティーンにしか見えない。傍目から見れば、30前後の男が10代の子供を連れ回しているように見えるだろう。誘拐、という言葉がカイザーの脳裏をチラついた。
看起来不像马上就要步入二十几岁的后半段,他那孩子气的睡脸让人觉得,说实话,简直像个青少年。旁人看来,可能会觉得一个三十多岁的男人带着一个十几岁的孩子到处跑,这简直像拐带儿童,这个词闪现在凯撒的脑海里。

 長いドライブの途中まであたりさわりのない話をしていた世一だが、昨日あまり寝れていないのか途中で引きこまれるように眠ってしまった。ロッカールームで見たときは赤みが差していた頬はすっかり血の気を失っている。安らぎの中でも葛藤を手放せないのか、寝顔は苦しそうだった。
世一在漫长的旅途途中,一直说着一些无关痛痒的话,但昨天睡得不够,中途就像被吸引似的睡着了。在更衣室里看到的时候,他的脸颊还有些红晕,现在却完全没有了血色。即使在安眠中,他似乎也摆脱不了内心的挣扎,睡脸看起来很痛苦。

「……らしくねえ。俺とこいつはそういう仲じゃねぇだろ」
「……不像话。我和他不是那种关系吧」

 カイザーと世一は恋人同士ではない。試合のあとの昂りを治めるために互いの身体を利用しているだけのセフレだ。こちらから気まぐれに手を出し、世一は戸惑いながらもカイザーを受け入れた。それだけの関係だったが、おかしなことにもう3年も続いている。
凯撒和世一不是恋人。比赛后的激情,他们只是为了平复而互相利用的炮友。凯撒随意地伸出手,世一虽然犹豫,却还是接受了他。但奇怪的是,这种关系已经持续了三年。

 カイザーのつぶやきが耳に入ったのか、世一が身じろぎをした。
凯撒的低语传入耳中,世一动了。

「——ごめん、おれ寝ちゃって、」  「——对不起,我睡着了,」

 そう言いかけ、フロントウィンドウの向こうに広がる湖にハッと気づいて目を瞬かせている。
 这么说着,猛地注意到前方湖面,眨了眨眼。

「……てかマジで来たんだ」  「……话说真的来了」
「てめぇ
(さら)えって言ったんだろーが。もう忘れたかクソ道化(ピエロ)?」
「你丫说要拐走我的吧。都忘了?混蛋小丑?」

 馬鹿にしたように鼻で笑えば、世一は眉を下げ「巻きこんでごめん」とぎこちなく笑った。
 不屑地用鼻子哼笑,世一便垂下眉毛,结结巴巴地笑了笑:「卷进去了,抱歉。」

「悪かったと思ってるよ。さっきはどうかしてた。……けど、ほんとに助かった。ありがとな」
「我很抱歉。刚才我有点不对劲……但是,真的帮了大忙。谢谢。」

 カイザーの挑発には乗らず、世一は素直に感謝を口にした。いつもとは違う態度に、振り上げた拳が行き場を失う。誰にも見せない場所を晒して情欲のままに奪い合うそれなりに気安い仲ではあったが、世一がこんな風にセックス以外の何かを求めてくることはなかった。
 凯撒的挑衅,世一没有理会,而是诚恳地表达了谢意。他与往常不同的态度,让举起的拳头无处安放。他们私下里虽然关系亲密,甚至毫不掩饰地为了情欲而争夺,但在世一这里,除了性以外,从未有过类似的需求。

 何がどうなっている。調子が狂って仕方がない。カイザーは後ろ頭をガシガシとかき、ドアを開けて外に出た。凍えるような風に全身が包みこまれ、慌てて両手をポケットに突っこむ。雪が降っていないだけマシだった。
 怎么回事?事情进展得一塌糊涂。凯撒抓着后脑勺,用力地挠,打开门跑出去。刺骨的寒风裹挟着他全身,他慌忙地把手插进衣袋。至少没有下雪。

 山あいの地形を利用して作られたダムは半円のアーチ式になっており、その上がハイキングコースになっていた。遅れて車を降りた世一が小走りに後をついてくる。
 依山傍水而建的坝体呈半圆拱形,坝顶是条远足小径。世一稍后下车,小跑着跟在后面。

「よくこんなとこ知ってたな」  「你居然知道这里?」
「マネージャーのマルコに聞いた。景色がすげーきれいなんだって」
「向经理马尔科打听过,景色超棒的。」

 月が出ているので思っていたほどには暗くない。峻嶺な山々と深い森が、たっぷりと水をたたえた湖面にくっきりと写っている。マルコの言う通り、明るい時間ならすばらしい風景が望めるだろう。だが、間違いなく今じゃない。
「月光下,不像我想象中那么暗。雄峻的山峰和茂密的森林,清晰地倒映在湖面上,水波荡漾。马尔科说的没错,白天的话,景色一定很壮观。但现在,绝对不是观赏的好时机。」

「カイザーは来たことある?」  「凯撒来过这里吗?」
「こんなところまでわざわざ出向く用がねぇな」  「特意跑到这种地方来,没啥必要吧」
「これってどれくらい深いんだろ」  「这到底有多深啊」

 カイザーの隣で、柵から身を乗り出すようにして眼下を覗きこんだ世一がひとりごちる。こういうのってすげぇ怖い、けど怖いのに見たくなっちゃうんだよな、と性懲りもなく下を見て、うわ怖、と言って頭を引っこめた。必要以上に饒舌な様子は、いつもの調子を取り戻したようにも、何かを誤魔化し続けているようにも見える。
「凯撒的旁边,世一探出栏杆,向下张望。这种地方真吓人,但就是害怕还忍不住想看,真是没完没了,又向下看了一眼,哇,好可怕,赶紧缩回脑袋。他喋喋不休的样子,既像是恢复了往常的习惯,又像是还在掩盖着什么。」

「つうかこれ、俺が今ここから落ちたら、絶対おまえが犯人にされるよな」
「话说如果我现在从这里掉下去,你绝对会被当做凶手吧」

「んなしょぼい殺し方するか。おまえを殺すのはフィールドの上でだ」
「用这么拙劣的方式杀人?我杀你是在战场上」

「まー、俺らの共通認識ではそうだけど、世間の人らにはわかんねーじゃん。状況証拠? みたいなのがさ?」
「嘛,我们私下里都这么认为,但一般人可不知道啊。证据?之类的,对吧?」

「たとえ俺が突き落としたとしても、目撃者がいないから完全犯罪成立だな」
「就算我推你下去,没有目击者,那也算是完美犯罪了。」

 すげぇ悪人ヅラすんのな。世一がずびっと鼻をすすってから小さく笑った。それからポツリと言う。
「 真是个可怕的坏人啊。」世一用力吸了吸鼻子,然后轻轻笑了笑。接着,他轻声说道。

「……1人で死ぬのは、いやだな」  「……一个人死掉,不太想。」

 そんな顔はこの男らしくなかった。心臓が冷たくざわめき、だがカイザーはそれを意識の俎上に載せることなく軽口で受け流す。
 这样的表情,不像这个男人。心脏冰冷地悸动,但凯撒却毫不理会,用玩笑话敷衍过去。

「いまさら自分に愛想が尽きたか」  「现在对自己的热情消磨殆尽了」
「そんなんじゃない。だって俺、まだ世界一になってねーし」
「不是这样的。因为我还没成为世界第一呢」

「俺が一緒に飛び降りてやるって言ったら?」  「如果我说要和你一起跳下去呢?」
「……俺とおまえで?」  「……我和你?」

 世一は不思議そうに首を傾げ、二、三度目を瞬かせた。そうだ、俺とおまえで。もったいぶって言葉を返せば、世一は吹き出した。
 世一疑惑地歪着头,眨了眨眼睛。对,你和我。如果故作姿态地回应,世一就笑喷了。

「明日のゴシップ紙の見出し、『バスタードの双剣、冬のダム湖で駆け落ち情死!』になんじゃん。そんなのぜっっってぇヤダ」
「明天的八卦报纸标题,‘败类双剑,在冬天的水坝湖私奔殉情!’会变成这样。那绝对不行」

「ハン、俺だってごめんだ」  「汉,我也有错」
「だったら言うなよ」  「那你就别说了」
「そもそもな、こんな時間にこんな場所でおまえと一緒にいること自体がクソイカれてんだよ」
「说到底,在这个时间在这个地方和你在一起本身就很离谱。」

 それはそうかも、と無邪気に笑いをこぼす世一の横顔に我知らず安堵を覚える。
“是啊,大概吧,”世一无邪地笑出声,我忍不住感到安心。

「おまえの酔狂に付き合ってやってんだ。そろそろ理由(ワケ)くらい聞かせろ」
「我陪你胡闹,现在该说点理由了吧。」

「ウワーッ、やべぇ
(さみ)ぃ。見ろカイザー、指が真っ白んなってる。ウケる」
「哇,好冷啊。看,凯撒,我的手指都冻白了。笑死」

「おい、話を逸らすな」  「喂,别岔开话题」

 ふざけた態度で話題をすり替えられ、カイザーはムッとして世一の肩をつかんだ。強い力で自分の方を向かせる。月の光が男の瞳を濡らし、青い鉱石のようにきらめかせていた。思いがけぬ美しさに目を奪われて動きを止めれば、世一は伸び上がるようにしてカイザーに口づけた。一度唇を離し、角度を変えて唇を押しつけてくる。
 用戏谑的态度转移话题,凯撒气得抓住世一肩膀。用力将他转向自己。月光濡湿了男人的瞳孔,像蓝色的矿石般闪耀着光芒。被那出乎意料的美景所吸引,世一停下了动作,如同向上攀爬般凑到凯撒嘴边。短暂地离开唇瓣,改变角度,再次贴近。

 
 唇は濡れて熱を持ち湿っていた。全身がかじかむような寒さの中で、世一とカイザーとつなぐその一点だけが熱かった。ぬくもりを求めるようにカイザーがキスに応えれば、世一は色を浮かべた瞳をうれしそうに細めた。
 嘴唇湿润而热,充满了潮气。在全身都冻僵的寒冷中,世一和凯撒相接的那一点却异常温暖。凯撒回应着吻,仿佛在寻求温暖,世一则羞红了眼眸,开心地眯起了眼睛。

 緩んだ唇の隙間に舌を差し入れると、世一はすぐに舌を絡めて来た。カイザーのものよりも薄くて小さいそれをねぶり、絡め合わせ、戯れるように歯先で噛んだ。ビリビリと電流のような刺激が脊髄を走る。
 将舌头伸进松开的嘴唇缝隙,世一立刻缠绕住了凯撒的舌头。他那比凯撒更纤细的小舌头缠绕、交织,嬉戏般地用牙尖轻咬。如同电流般的刺激沿着脊髓蔓延开来。

 世一はきつく目を閉じてキスに溺れていた。何かをこらえるような苦しそうな顔が、快感を逃しているときの苦悶の表情に重なり、腹の底が熱を帯びる。耳が痛くなるような静謐な夜の底で、唇同士が立てる濡れた音だけが響いた。
世一紧紧闭上眼睛,沉溺在吻中。他强忍着痛苦的表情,与快感带来的煎熬交织,腹中涌起一股热浪。在宁静的夜里,唇与唇之间发出令人耳鸣的湿润声响。

「ん……んっ……」  「嗯……嗯……」

 深いキスに感じて声を漏らしている世一の手が背中にまわり、ぎゅっと服をつかんでくる。カイザーが腰を抱くと、世一は太腿を挟みこむように腰を押しけた。明らかな兆しを見せるそこを、追い立てられるように何度もこすりつけられ、さすがに我に返った。
 深吻中,世一发出呻吟,手环抱住背部,紧紧抓住衣服。凯撒抱住腰,世一夹紧双腿,腰部用力挤压。明显的迹象,被追逐般地反复摩擦,终于清醒过来。

「ッ、おい、こんなとこで発情すんな」  「喂,这里不行,别发情。」
「でも……したい」  「但是……想」

 瞳を溶かし、はぁはぁと息を荒くしている男に言われ、ぐらりと理性がよろめく。ここが家かホテル——せめて屋内だったらいくらでも応えようがあるが、残念ながら吹き晒しな上に身を隠す場所もない。
「 看着眼睛都快要融化,喘息吁吁的男人这么说,我的理智摇摇欲坠。这里是家还是酒店——如果是在室内,我或许还能应付,但很不幸,这里是露天,而且没有可以躲藏的地方。」

 カイザーは問答無用で手首をつかみ、世一を引きずるように大股で歩き出した。100メートルほど離れた車に戻り、助手席に世一を放りこむ。さて、近くに身を寄せるところなどあっただろうかと考えながら運転席にまわりこめば、少しの時間も待ちきれないのか世一が顔を寄せてくる。
「 凯撒毫不犹豫地抓住世一的腕,大步流星地拖着他走。走到离车大约一百米的地方,将他扔进副驾驶座。心想附近有没有可以靠拢的地方呢?然后绕到驾驶座上,世一却迫不及待地凑了上来。」

 二、三度性急な口づけを交わし、「今、泊まれるところを探すから待ってろ」とカイザーが言えば、世一はもじもじと膝を擦り合わせた。
二、三次急促的吻过后,“现在去找地方住,你等着”凯撒说道,世一便局促不安地搓着膝盖。

「もう無理、我慢できない。カイザー……頼む」  「我撑不住了,受不了了。凯撒……拜托」

 そう言って、ちゅ、ちゅ、と機嫌を取るようにキスの雨を顔中に降らせてくる。
说着,吧嗒吧嗒地像哄人一样在脸上落下吻雨。

「我慢できないったって、ここじゃできねぇだろ」  「我忍不了,在这儿可不行啊」

 男の身体は勝手には濡れない。女のそれと違って、セックスをする前には入念な準備がいる。
男人的身体不会自己湿润。不同于女人,在做爱之前需要仔细的准备。

「……さっきシャワールームでしたから、すぐ挿入(はい)ると思う」
「……刚才在浴室里,所以我想马上就进去。」

 とてつもない爆弾を落とされ、カイザーは唖然とした。シャワールームでした? こいつは職場で何をしてるんだ。ロッカールームで見た世一が身体を火照らせ呼吸を浅くしていたのは、自分を慰めたあとだったからなのか。こいつの倫理観はどうなっている。母親の腹に忘れて来たのか?
被一个巨大的炸弹击中,凯撒目瞪口呆。在淋浴间?这家伙在工作场所到底在干什么?在更衣室里看到世一浑身发热,呼吸浅促,是因为他安慰了自己之后吗?这家伙的道德观是怎样的?是把母亲忘在肚子里了吗?

 空いた口が塞がらないまま思考を停止させていると、輪郭を辿るように世一が人差し指で唇をなぞった。つぷ、と先端を差し入れられて舌先を弄ぶようにつつかれた。
空着的嘴巴无法闭合,思维停滞下来,世一用食指沿着嘴唇的轮廓描摹。轻轻地,指尖探入,拨弄着舌尖。

「俺の指じゃイイとこに届かなかった。……だからおまえの(・・・・)で擦って」
我的手指够不着好地方……所以用你的来摩擦。

 ふつふつと煮えたぎる欲情を隠そうともしない声で言われ、どくり、と心臓が破裂しそうなほどに荒々しく高鳴った。
声音毫不掩饰地流露出翻腾的欲望,心脏砰砰直跳,仿佛要炸裂开来。



 車は移動のための乗り物であって、セックスに適した場所とはいえない。スポンサーから提供されている比較的ゆったりとした造りの車であっても、180センチ近いプロフットボーラーが重なり合うには狭すぎた。
汽车是移动工具,而非性交场所。即使是赞助商提供的相对宽敞的车子,对于接近 180 厘米的职业足球运动员来说,空间还是太小了。

 限界までリクライニングを倒した助手席の上でカイザーは世一にのしかかる。クソ狭ぇ。文句を言いながら首筋に口づけると、彼はふるりと身体を震わせ、鼻にかかった満足げな声を漏らした。どこまでもエゴイストな男だ。
凯撒倚靠在极限后仰的副驾驶座椅上,俯视着世一。 狭窄得要命。他抱怨着,在世一的脖颈上留下一个吻,后者身体微微颤抖,发出带着鼻音的满足声。 他真是个彻头彻尾的利己主义者。

 すべてが世一の思うツボすぎていちいち癪に触る。触るが、今もなお火力を上げ続けている熱は、いまさらどうしようもない。トップスを剥ぐようにめくりあげ、期待に粟立つ肌に唇を寄せる。さんざん別のところを吸い上げたあとで色づいた蕾の縁を舐めれば、腰がひくんと浮き上がった。
一切都正中世一的下怀,简直让人气得牙痒痒。虽然气得牙痒痒,但那股热火却还在持续升温,现在说什么都晚了。他一把掀起上衣,凑近期待中泛红的脸颊。在狠狠吸吮过其他地方之后,舔舐着那染上色彩的蓓蕾边缘,腰肢不由自主地微微翘起。

「っ、ん、」  「嗯、嗯」

 たまらないというように頭を抱えこまれ、後ろ髪をくしゃくしゃにかき混ぜられる。決定的な刺激を避け、カイザーはやわく強く舐め上げた。次第に芯を持って固くなっていく胸の飾りには触れず、執拗にそのまわりだけを愛撫する。
仿佛无法自抑地抱着头,后颈被胡乱地抓挠。凯撒轻柔地舔舐着,避开关键的刺激,只执着地爱抚着胸前装饰物周围,使其逐渐坚硬挺立。

「ぅ、あ、ぁ、……んぅ……ッ」  「嗯、啊、啊、……嗯……啊」

 微弱の刺激ばかりを与えられ、耐えられなくなった世一がシートをずりあがる。頭がヘッドレストから落ち、がくりと世一はのけぞった。腰をつかんで引きずり下ろし、ついでとばかりに下に履いているものを剥ぎ取ってしまう。ふるりと勃ち上がった世一のものは先端を腫らし、細い糸を垂らしていた。
微弱的刺激让他受不了,世一滑下座椅。头从头枕上掉落,他猛地向后仰去。抓住腰部,将他拉了下来,顺势剥下了他下面穿的衣服。世一的勃起猛地挺立起来,尖端肿胀,细丝垂落。

「こら、逃げんな」  「喂,别跑」
「逃げて、ねぇ……っての、」  「逃走,嗯……?」
「もうぐちゃぐちゃだな」  「真是乱七八糟啊」
「……おまえが、意地悪するからだろ……ッ」  「……都是你故意捣蛋……!」

 涙の溜まった目でキッと睨みつけられると、笑えるほどに嗜虐心が煽られて仕方がない。カイザーは乾いた己の唇をゆっくりと舐め上げた。
泪水盈眶地,被狠狠地瞪了一眼,嗜虐的念头蹭蹭地冒了出来,凯撒慢慢地舔了舔干燥的嘴唇。

「本当に世一くんは俺を煽る天才ねぇ?」  “世一君真是个挑衅天才啊?”
「煽ってねぇよ、クソバカ!」  「别挑拨,蠢货!」

 下半身を無様に晒した格好で、世一ソックスを履いた足をバタつかせた。膝で太腿を押さえつけ、後ろの窄まりを探る。縦に割れて形を変えたそこは、数時間前までしていたという言葉の通り、いやらしく濡れている。
下半身赤裸裸地,穿着世上最好的袜子,脚丫子乱蹬。膝盖抵住大腿,探寻后方的狭窄处。纵向裂开,形状改变的部分,正如几小时前所说,令人不齿地湿润着。

「……足りなきゃ後ろのバッグに入ってる、ローション」
「……不够的话,后边的包里有润肤露。」

「なんで持ち歩いてんだよ」  「为什么带着它啊」
「おまえがいつも急にサカるからだろーが」  「因为你总是突然兴奋嘛」
「遠征に行くときはちゃんと持って行ってるだろ。しっかりオナるのに使ってんじゃねぇか」
「远征的时候,该带的东西都带了吧?别拿来胡搞乱搞吧。」

「そ……れは、そういう気分になったときにたまたまそこにあったから」
「那……是,那种心情出现的时候,正好在那里。」

 しどろもどろに言って口を尖らせる顔に胸がときめいて、カイザーは言葉の途中で口を塞いだ。後部座席の足元に落ちていたバッグからローションを取り出し、指先をたっぷりと潤す。つぷぷ、と後ろは簡単にカイザーの指を飲みこみ、奥へ奥へと誘った。やわらかく脈打つ柔襞は、減らず口ばかりの本人とは違ってカイザーの指に媚びてくる。
结结巴巴地说,说着就撅起嘴,看到那张脸,凯撒的心怦怦直跳,话说到一半,他捂住了嘴。从后排座位脚下的包里拿出润肤露,指尖沾满了润肤露。滋滋,后背轻易地吞没了凯撒的手指,往里,往里地引诱着。柔软的脉动着的褶皱,不像本人那样爱抱怨,反而对凯撒的手指示好。

 さきほどまで焦らしに焦らしていた胸の先はピンと尖っていた。カイザーが口に含むと、世一は甘く鳴く。キャンディーを味わうように舌先で転がし、強弱をつけてこねまわした。
刚才还焦躁不安的心尖儿,现在绷得紧紧的。凯撒一口含住,世一发出一声轻柔的呜咽。他用舌尖轻轻地转动,强弱有致地揉捏着,就像品尝糖果一样。

「やっ、……ん、ぅ、ぁぁ……っ!」  「啊……嗯……呜……啊!」

 感じている声を聞きながら後ろに差し入れた指を動かすと、呼応するように腸壁がうねった。指を増やし、ローションを継ぎ足しながら出し入れをすれば、むずがるように腰が揺れる。その振動で、腹につくほど勃起した世一のものからピッと透明な雫が飛んだ。
听着声音,将手指伸向后方,肠壁随之起伏。增加手指,添加润滑剂,来回移动,腰部扭动,像在抗拒。那震动,让那挺立如山的家伙喷出一道透明的液体。

「ぁっ、ああっ、ん……ふぅ……っ、」  「啊!啊!嗯……呼……!」

 後孔から少し奥に入ったところにある前立腺を撫でさすりながら、硬く尖らせた舌で乳首の先をいじめてやる。世一は目の焦点をブレさせ、は、は、は、と達する前のように息を短くしていた。
轻轻抚摸后孔稍后的前列腺,尖硬的舌头挑弄着乳头。世一的眼神涣散,呼吸也变得急促,像之前那样,哈、哈、哈。

「気持ちいいか?」  「舒服吗?」
「んっ、う、んぅ〜〜〜……ッ」  「嗯、啊、嗯嗯〜〜〜……!」

 耐えきれずにぎゅっと目をつぶった男は、カイザーの機嫌を損ねまいとこくこくと必死でうなずいている。ピッチにくずおれた弱者を睥睨する男の姿とは思えなかった。暗くあたたかい感情が胸を支配し、大切にしてかわいがってやりたいという想いと、めちゃくちゃに泣かせていたぶってしまいたいというサディスティックな感情が交差する。
“耐不住地紧紧闭上双眼的男人,为了不让凯撒生气,拼命地点头。这不像一个睥睨弱者的男人。黑暗而温暖的情感支配着他的胸膛,爱护和呵护的欲望与想要狠狠地哭出来,然后又想恶作剧的变态情感交织在一起。”

「おまえの指じゃ届かなくても、俺のなら届くだろ?」
「你的手指够不着,但我的就能吧?」

 
 硬くしこった胸の蕾を歯先で軽く刺激しながら、3本に増やした指を出し入れをすれば「あっ、ゃ、んっ〜〜〜〜〜〜〜ッ」とかすかな叫び声を上げて世一は達した。ぴゅく、ぴゅくとやや色の薄い白濁が鍛えられた腹を汚す。とろんとした目で見上げてくるのがいやらしくて頭の中がカッとなる。
紧紧咬合的胸部花蕾,被牙尖轻轻刺激,三指进出,世一发出“啊、呀、嗯〜〜〜〜〜”的微弱叫声,达到高潮。白浊的液体,微微泛着浅色,喷洒在锻炼过的腹部。那双湿润的眼睛望着自己,令人心猿意马,头脑一片火热。

 ここまでの痴態を見せられて冷静でいられるはずもなかった。詰めていた息を吐き出して、カイザーは窮屈になっていたボトムスの前をくつろげる。ローションとセットになっていたスキンを取り出して被せると、ヒクヒクと蠢く後ろに押し当てて狙いを定める。
看到他这副痴态,怎么可能保持冷静?凯撒吐出一口气,放松了紧绷的裤子。他拿出和润肤露一起的护肤品,盖在蠢蠢欲动的小屁股上,瞄准了目标。

 垂れ落ちた白濁と、泡立つローションが混ざり合うのを見て、カイザーはほとんど一気に腰を進めた。世一の手がカイザーの二の腕にきつく食いこむ。凶暴なまでに腫れ上がった雁首が踏み散らすように狭いところをくぐり抜け、熱くうねる腸壁に迎え入れられる。精液を絞り取ろうとするかのごとくきつく締めつけられ、カイザーは低く呻いて歯を食いしばった。
垂落的白浊与泡沫状的乳液混合,凯撒几乎是瞬间向前探身。世一的手紧紧抓住凯撒的二头肌。凶暴地肿胀的脖颈,如同践踏般地穿梭狭窄的通道,被炽热蠕动的肠壁迎接。仿佛要榨取精液一般地紧紧束缚,凯撒低低地呻吟,咬紧牙关。

 形のいい頭を抱きかかえ、耳元で雄臭い息を漏らすと、世一はそれにすら感じ入ったのか、ビクビクと腰を震わせている。クッソ気持ちいい。少しでも気を抜くと、すぐにでも出てしまいそうになる。それがこのシチュエーションによるものなのか、すっかり出来上がっている世一の振る舞いのためなのか判断がつきかねた。
抱着形状优美的脑袋,耳边传来雄性的气息,世一似乎被这气息所触动,身体微微颤抖。真他妈舒服。稍不留神,就好像要喷涌而出。是这种情境的原因,还是世一那副完全沉沦的模样,让人难以判断。

「う゛ッ、っ、んん〜〜〜〜ッ」  「呜、嗯嗯〜〜」
「クソ締めつけやがる、」  「真是烦死人了」
「あ、あ、あ……ッ、ん、はぁっ」  「啊,啊,啊……嗯,哈!」
「感度バグりすぎだろてめぇ……」  「感度失控了吧,混蛋……」
「ひ、ぁ、あ、……かいざぁ……すげーいい、」  「啊,啊……厉害……太棒了,」

 入り口のところまで引き抜き、世一のイイところを先端でぐりぐりと押しつぶしながら、ズプン、と奥まで一気に嵌めこむ。世一は小さく悲鳴を上げ、今度は中だけで達した。ぎゅう、と容赦なく蠕動する腸壁に強く食いしゃぶられ、カイザーは息を詰めて大波を耐えた。
将它从入口处抽出,用尖端在世界第一的敏感处一遍遍地用力挤压,噗的一声,一下子深深地插入。世界第一发出一声轻微的悲鸣,这次是在内部达到高潮。肠壁被紧紧地、毫不留情地蠕动着,紧紧地吮吸着,凯撒屏住呼吸,承受着巨大的冲击。

 これではあまり持ちそうにない。インターバルが欲しい。己のものを引き抜くと、生理的な涙で目のまわりをぐちゃぐちゃにした世一は「もう終わり?」と泣きそうな顔をした。
这样拿不住啊。需要休息一下。世一拔出自己的,生理性的眼泪把眼睛周围弄得一团糟,他“完了吗?”地说,脸上哭丧着脸。

「んなワケねーだろ。この体勢じゃ腰を痛める。おまえが上に乗れ」
「这不可能吧。这种姿势会伤到腰的。你上来吧。」

 カイザーの言葉に、そういうことか、と世一は目を細める。頬に幾筋も残る涙の跡が、窓から差しこむ月明かりで光った。上下を入れ替えるようにカイザーがシートに寝転がり、今度は世一を自分の上に跨らせる。
凯撒的话,世一眯起眼睛,心想原来如此。颊上几道泪痕,在窗外的月光下闪光。凯撒像要调换位置一样,躺在座椅上,这次把世一压在了自己身上。

 達したばかりで力の入らない身体が崩れそうになるので支えてやる。世一は股ぐらに手を入れてカイザーのものをつかみ、「……デッカ」とつぶやいてふにゃりと相好を崩した。手慣れた様子でそれを後ろに導き、少しずつ腰を落としていく。
刚达到,无力支撑的身体快要倒下,得扶住他。世一把手伸进他胯下抓住凯撒,低声呢喃着“……デカ”然后表情垮了下来。熟练地将他往后引,慢慢地降低重心。

 汗を浮かべた子供のような無垢な笑顔と、行われている淫猥な行為とのギャップにくらくらする。性的指向が男というだけでアブノーマルな性癖を持っているわけではない、というカイザーの自認が、この男といると根本からグラつく。こういうところが潔世一という存在の恐ろしいところで、たくさんの男たちから執着される所以なのだと思う。
额头上渗出汗珠的,孩子般纯真的笑容,与正在进行的猥亵行为形成鲜明对比,令人作呕。凯撒仅仅是男性性取向,并不代表他拥有反常的癖好,这一点令我对他根深蒂固的认知产生动摇。或许,这就是洁世一令人恐惧,并令无数男人着迷的缘故。

 鼻をくすんくすんと鳴らしながらペニスを呑みこみ、入るところまですべて収めきる。中の滑りを確認するように角度を調節し、カイザーの胸に手をつくと、世一はおずおずと腰を動かし始めた。膝を大きく開くことができないせいで拙い動きだ。それでも、口からは喘ぎ声があふれ出す。
鼻子哼哼唧唧地吸吮着阴茎,全部吞入口中。调整角度确认里面的滑腻感,手放在凯撒的胸膛上,世一小心翼翼地开始动腰。膝盖无法张开,动作笨拙。尽管如此,口中还是发出喘息声。

 腰を持ち上げて、落とす。また尻を上げて、ずぷぷ、と埋めこむ。律動を早めていくと、車はゆさゆさと揺れた。見る者が見たら、車の中で何が行われているかすぐにわかるだろう。
抬起腰,放下。再把臀部抬起来,滋滋地嵌入。加快节奏,车子摇晃起来。旁观者一眼就能看出车内发生了什么。

「っあ、……あ、ん、んぅ……」  「啊……啊,嗯,嗯……」
「頭ぶつけんなよ」  别撞头

 ぬぷぬぷとした控えめな出し入れは、中が馴染むにつれて少しずつ大胆になっていった。世一のものに締め付けられ、下腹部に全身の血が集まっていく。気持ちいい。頭の中が溶けそうだ。世一は腰を浮かせ、浅いところを何度も擦っている。あっ、あっ、あっ、と口からうわずった声がひっきりなしに上がり、カクカクと腰を振る姿はほとんど自慰のようだ。
轻轻的进出,随着内部的适应,渐渐大胆起来。被世一紧紧束缚,下腹部的血液都集中到一起。舒服。脑袋都要融化了。世一抬高腰部,反复摩擦着浅层。啊,啊,啊,不断从口中发出低吟,摇曳的腰肢几乎像自慰一般。

 ——俺がいるのに。  ——我在这里。

 チリ、と胸の底が焦げる。  心头火辣。

 両手で腰をつかんで動きを止めさせると、世一は焦点の定まらない瞳で「は」と「え」の中間のようなと呆けた声を出した。
双手抓住腰部,阻止了动作,世一眼神游移,发出介于“哈”和“唉”之间的呆滞声音。

「カイザー、……動けない、」  「凯撒,……动不了,」
「……ひとりで気持ちよくなってんじゃねぇよ」  「……一个人高兴个什么劲儿」

 これはセックスだろ。そう言外にほのめかして、下から腰を突き上げる。
“这分明是性爱嘛。这么含蓄地暗示着,从下面顶她的腰。”

「ぁ゛ッ、ん゛ぅ……っ!」  「啊゛!嗯゛……!」

 突然の強い刺激に濁った声をほとばしらせ、世一はのたうつように四肢を痙攣させた。手の跡が残るくらい強く腰をつかみ、カイザーは串刺しにするように己のものを突き立てた。奥に当たるたび、ぎゅっと全体が強く締めつけられる。中を深く抉り、剣と鞘がぴったりと隙間なく組み合わされば組み合わさるほど、どうしようもない無常感に駆られる。
突如的强烈刺激,浊声喷涌而出,世一抽搐般地痉挛四肢。腰部被紧紧抓住,留下深深的痕迹,凯撒如同串刺一般地将自己的东西插入。每深入一分,整个身体便被紧紧地勒紧。越深入,剑与鞘越紧密地契合,那种无以名状的虚无感便越强烈。

「っ、かいざぁ……待っ、」  「啊,该死……等等」
「待つかよ、」  「等等吧」
「んっ、ぅ、苦し……ゃ、やだ、そこばっか」  「啊……疼……讨厌,就那儿」
「自分の指じゃ届かないって言ったのはおまえだろ」  「说你手指够不着的是你吧」
「ぅ、あ゛ッ、……いった、けど……っ、」  「啊……嗯……可是……」

 欲以外の何かをぶつけるようにカイザーは目の前の身体を貪った。奥を攻められ続けている世一は、グラグラと頭を揺らし半ば意識を飛ばしていた。腰を支える手を離すと、力を失ってカイザーの胸に倒れこんでくる。不自由な体制のまま、しかしカイザーは腰を振った。
仿佛要将其他情感倾泻而出,凯撒贪婪地吞噬着眼前的身躯。被持续攻击的世一,脑袋摇晃不止,意识也渐渐模糊。松开支撑腰肢的手,无力地倒向凯撒的胸膛。尽管姿势狼狈,凯撒却依然扭动着腰肢。

 ばちゅ、ばちゅ、と休む間もなく律動を続けていると、声にならない叫び声を上げて世一が先に達した。シャンプーと汗の匂いが混ざり合い、夏草のようなみずみずしい香りがする。世一のうなじに吸いついて、絶頂後に収縮を繰り返す腸壁を容赦なく蹂躙した。
巴楚、巴楚,律动不停,世一率先发出无声的叫喊。洗发水和汗水的味道混合在一起,像夏日的青草一样清新。吸附在世一的脖颈,毫不留情地蹂躏着高潮后收缩的肠壁。

「や、ぁ、……待って、」  「啊,……等等」
「待つかよ……ッ」  「等等……!」
「やだ……やだやだ、……ッあ、ア゛ぁ……ッ」  「不要……不要不要,……啊,啊……!」

 もうダメだ。よすぎて頭がバカになる。理性は快楽に溶かされ、ただ本能だけがカイザーを支配する。達したばかりでままならない世一の身体を(なぶ)り、激しく揺さぶった。まるで発情期の獣だ。
不行了。太好了,脑袋都糊涂了。理智被快感淹没,只剩下本能支配着凯撒。刚刚达到巅峰,身体却难以控制,被狠狠地摆弄,就像发情期的野兽一样。

 無茶苦茶に腰を揺すり上げ、絶頂を求めて無我夢中で腰を振った。世一は糸の切れた人形のように弛緩したまま、強く胸に抱かれている。重なり合った胸と胸が汗ですべった。
苦苦地摇摆着腰,一心求索顶点,疯狂地扭动着腰肢。世一像断了线的木偶般瘫软下来,紧紧地被拥抱着。紧贴的胸膛湿漉漉的,汗水浸透。

「っ、ぐ——クソ出る、」  「啊,呕——该死,吐了。」

 全身が痺れるほどの官能に包まれ、目の前が白く霞む。銃身が膨らむようにペニスが膨張し、薄いゴムの膜の中に欲情の証を注ぎこんだ。すべて出し切るように何度か腰を揺すると、制御を失った世一は不随意に身体を震わせ、きれぎれの吐息の中で何事かをつぶやく。
全身麻痺般的官能包围,眼前一片白茫茫。枪管膨胀般,阴茎膨胀,将欲念的印记注入薄薄的橡胶膜中。为了完全释放,他几次摆动腰肢,失去控制的世一不由自主地颤抖,在断断续续的喘息中呢喃着什么。

「…………りん」  「……琳」

 それは、〝青い監獄(ブルーロック)〟時代、絵心甚八をして「最良のパートナー」と言わしめた男の名前だった。
那是“蓝色监狱”时代,让绘心甚八称之为“最佳搭档”的男人名字。



 ◇ ◇ ◇



「おまえ何食う? けっこー食えそうな感じ? やっぱここは無難に唐揚げとか炒飯かなー」
「你吃什么?看起来能吃不少?还是这里点炸鸡和炒饭比较保险?」

 ぶつぶつ言いながら世一はメニューをめくっている。対面に座るカイザーもつられるようにメニューに目を落とした。店員に渡されたメニューブックはそこそこのボリュームがあり、カラー写真入りのしっかりとした造りだ。遅めの時間にも関わらず、店内にはポツポツと客の姿がある。
嘟嘟囔囔地,世一翻看着菜单。对面坐着的凯撒也跟着低头看着菜单。服务员递来的菜单册份量不小,是彩页图片,做工精良。尽管时间不早了,店内还是零零散散地坐着一些客人。

「うお、麻婆豆腐あんじゃん! しかも本格的なやつ」
「哇,麻婆豆腐啊!还是正宗的!」

 しばらくメニューを見ていれば、世一が小さく声を上げる。
看着菜单,世一小声说道。

「マー……なんだって?」  「玛……究竟是什么?」
「麻婆豆腐。えーっと、豆腐と肉を炒めて辛く味つけしたやつ。これを白いご飯に乗っけて食べんのがサイコーなんだよ。辛いけどうまくて、すげぇ飯が進むの」
「麻婆豆腐。呃,豆腐和肉炒在一起,辣味很重。把它盛在白米饭上吃,简直太棒了。虽然辣,但是好好吃,超级开胃。」

「ふーん」  「嗯」
「え、何? カイザーこーゆーの無理?」  「啊,什么?凯撒这种事做不到吗?」
「そもそも辛いものが食えねぇ」  「本来辣的东西吃不了」
「ウッソだろ?」  「不可能吧?」
「思い出してみろ。ドイツには基本的に辛い食べ物がない」
「想想看,德国基本上没有辣的食物」

「あー……そういやそうだな。あってカリーブルストくらい?」
「啊……这么说来,好像只有咖喱香肠?」

「カリーブルストも戦後の食いもんだ」  「卡里布斯特也是战后的美食」
「へぇ〜」  「嗯~」
「日本人は伝統的に辛いものを食べるのか?」  「日本人传统上吃辣的吗?」
「ん、まぁ、そーかな。わさびとか、あとは一味唐辛子とかは昔からあったんじゃないかなあ。そういう意味では辛味に耐性があるから、中華料理も日本では人気なのかも」
「嗯,大概是吧。芥末啊,还有七味粉之类的,好像从很久以前就有。从这个意义上来说,日本人对辛辣有抵抗力,所以中国菜在日本也很受欢迎吧」

 どちらもカイザーが以前食べたことがあるという理由で、唐揚げと炒飯を頼み、なんかあったかいもんも食いたい、という世一のリクエストで辛くない麺を追加でオーダーすることになった。また2時間かけて車で戻らなければいけないため、飲み物はポットのジャスミンティーを頼んだ。
由于凯撒之前都吃过,所以点了一份炸鸡和炒饭,再加上世一想吃点热乎的,又额外点了份清汤面。另外,因为要开车两小时回去,所以点了一壶茉莉花茶。

「あったかいもんって、唐揚げも炒飯もあったかいだろ」
「热乎乎的东西,炸鸡也炒饭也热乎吧」

「そりゃあ、カルテスエッセンと比べたらな。せっかくあったまったのに駐車場から歩いてくるだけで一気に冷えちまった」
「那当然比卡特斯·埃森差远了。好不容易暖和起来,结果从停车场走过来就一下子冷透了。」

 案内されたのが窓際の席ということもあり、外気が足元から伝わってくる。世一は肩を縮こまらせて二の腕を擦った。
因为被安排在靠窗的座位,外界的空气从脚下传来。世一缩了缩肩膀,搓了搓胳膊。

「自炊に飽きてときどき外に食べに行くけどさ、中華ってミュンヘンの街中でもけっこう〝なんちゃって〟なとこが多くて」
「自炊腻了,偶尔出去吃个饭,但是,慕尼黑街头的中餐馆,很多都挺‘假’的。」

「なんちゃって?」  「装模作样?」
「うん。中華料理なのにタイカレーがあったり、パッタイがあったり、カリフォルニアロールが置いてあるみたいな。チャイニーズって看板に書いてあるのに、入ったら謎のアジアンレストラン、ってことがよくある。だからこんな片田舎に本格的な中華の店があるの、すげぇ不思議な感じ」
「嗯。明明是中式料理店,却有泰式咖喱、帕塔亚面,甚至还有加州卷。招牌上写着“中国菜”,进去却发现是个神秘的亚洲餐厅,这种情况很常见。所以,在这么偏僻的地方,能找到正宗的中餐馆,感觉真是太神奇了。」

 食べ物よりも先にジャスミンティーが運ばれてくる。世一は大ぶりのティーポットを傾けて、小ぶりの湯呑み茶碗にお茶を注いだ。ひとつをカイザーに差し出し、熱々のお茶をうまそうに飲んでいる。どこか吹っ切れたような顔は、ロッカールームで見たときとも、車の中でカイザーに跨って腰を振っていたときとも異なっている。細心の注意を払ってカットされたダイヤモンドのように、くるくると表情の変わる男だ。
茶水比食物先送上。世一倾斜着大号茶壶,往小巧的茶杯里倒茶。递给凯撒一杯,他悠然自得地喝着热腾腾的茶水。那副轻松自在的表情,与更衣室里看到的,以及车内跨坐在凯撒身上扭动腰肢时截然不同。如同精心切割的钻石,他的表情变化莫测。

 セックスのあと身体を清め服を整えていると、モゾモゾとスウェットを頭から被った世一が「なー、腹減らねえ?」と唐突に言ってきた。
性事後整理衣物,世一便窸窸窣窣地套上外套,突兀地說:「肚子餓不餓?」

「後ろにオーガニックのチョコレートバーがあるから好きに食え」
「后面有有机巧克力棒,随便吃。」

「や、そーゆーんじゃなくて、もうちょっとこう、ガッツリ系の……」
「啊,不是那种,更……呃,更强势一点的……」

 両手を胸の前でパタパタと動かして言ったところで、ぐう、と盛大に腹の虫が鳴る。カイザーがくくっと笑うと、世一は恥ずかしそうに顔を赤らめた。
双手在胸前拍打着,话音刚落,肚子就“咕咕”地响了起来。凯撒笑了笑,世一的脸顿时红了。

 調べてみれば車を止めた駐車場から15分くらいのところに街があり、いくつかレストランがあった。店じまいの早いドイツにあってほとんどの店がラストオーダーの時間を過ぎていたが、1軒のチャイニーズレストランだけは閉店法ギリギリの時間まで店を開けていた。
调查发现,停车场附近十五分钟路程的地方有个小镇,有几家餐馆。在德国,大部分店面关门时间很早,很多店都过了点餐时间。但一家中国餐馆却营业到临近关门时间。

 ふだん夕食は軽めに済ませることが多いカイザーだったが、今日は想定外のことばかり起こって間食の時間すらとれなかった。長時間のドライブと、そのあとのセックス。ひとつの欲を満たせば、すぐに別の欲が湧いてくる。カイザーは世一に賛意を示し、店へと車を走らせた。
平时晚餐凯撒通常吃得很清淡,但今天发生了一连串意料之外的事情,甚至连加餐的时间都没有。长时间的驾车,以及之后的事情。一个欲望满足后,很快就会出现另一个欲望。凯撒对此表示赞同,驱车前往餐馆。

「なんか変な感じだよな。こんなとこでこんな時間におまえとメシ食ってんの」
「感觉怪怪的啊。在这种地方,这个时候和你吃饭。」

「誰のせいでこんなところにいると思ってんだ」  「是谁让你以为会在这儿?」

 八つ当たりのように言えば、世一は「そーいや俺のせいだったな」と悪びれることなく首をすくめた。
八嘎,世一便“啊,好像是我的错”地毫不愧疚地耸了耸肩。

 さほど時間もおかずに料理が運ばれてくる。湯気の上がるラーメンや炒飯、唐揚げを見て、世一は目を輝かせた。てきぱきと取り皿と箸を配り、添えられたスプーンで山盛りの炒飯を自分の皿によそっている。
没过多久,菜就端上来了。冒着热气的拉面、炒饭、炸鸡,看得世一眼睛一亮。他麻利地分发盘子和筷子,用勺子盛着满满一碗炒饭放到自己的盘子里。

「シェアして食べるのでよかっただろ?」  「一起吃所以很不错吧?」
「ああ」  
「んじゃ、お先いただきまーす」  “那,我先走了!”

 ぱちん、と世一は両手を合わせ、レンゲいっぱいにすくったフライドライスを口に運んだ。すぐに、「え、うま!」と目を見開き、二度、三度と続けざまにレンゲを動かしている。日本人の食に対する旺盛なチャレンジ精神に束の間、圧倒されていたカイザーは少し遅れて箸を取った。
啪嗒一声,世一双手合拢,舀了一满勺油炸饭,送入口中。立刻,“嗯,好吃!”他瞪大了眼睛,接连不断地用勺子继续舀着。面对日本人对食物的旺盛挑战精神,凯撒稍作迟疑后才拿起筷子。

 唐揚げを口に運ぶと、口の中を火傷するくらい熱い肉汁が飛び出す。はふはふと唐揚げを頬張ってると、世一は「そっちもうまそう」と唐揚げと口に放りこんだ。
一口咬下去,嘴里像被烫到一样,热腾腾的肉汁喷出来。呼呼地嚼着唐揚げ,世一“那边看起来也很好吃”说着,也把唐揚げ放进嘴里。

「うわっ、あっちぃ……! けど、すげーうまい」  「哇,热……!但,太好吃了!」
「よくそんな熱い食い物を丸ごと口に入れられるな」  「你居然能一口吞下这么热的东西?」
「食い物は熱々だからうまいんだろ。俺からしたら、冷たい食べ物だけってのが信じらんねーよ」
「食物热乎乎的,所以好吃吧。对我来说,只有冷食,这简直难以置信。」

「熱い食いもんはな、疲れるんだよ」  「热乎乎的食物,吃多了会累的。」
「はぁ? 熱いものを食べると疲れる? マジかよ、そんなこと考えたこともなかった」
「哈?热的东西吃多了会累?真的假的,我从来没想过这个问题。」

 くだらないことを言い合いながら、テーブルの上に並べられた食べ物を我先にと頬張る。チームメイトになって3年、ベッドの上であられもない姿を見せ合っていても、こんな風にふたりで向かい合って食事をしたことは1度もなかった。それはカイザーにとって、窓から差しこむ一筋の光のような気づきだった。
“无聊地争论着,抢着吃桌上的食物。和队友一起三年了,在床上也见过各种不堪入目的场面,但像这样面对面吃饭,还是第一次。这对于凯撒来说,就像窗外的阳光一样,是一种新的发现。”

「あー……食った食った。すげえうまかった」  「啊……吃饱了吃饱了。真好吃」

 あっという間に食事を平らげた世一は満足そうに腹を撫でさする。カイザーの湯呑みを茶碗を覗き、ティーポットに残ったジャスミンティーを均等に注いでからぐびりと飲んだ。
世一狼吞虎咽地吃完饭,满意地拍拍肚子。他看了看凯撒的茶杯,把茶壶里剩下的茉莉花茶均匀地倒进杯中,然后咕咚咕咚地喝了下去。

「スープがまだ残ってるぞ。飲まないのか?」  「汤还没喝完呢。不喝吗?」

 世一の手元にある碗には、まだラーメンのスープがなみなみと残っている。
世一的手中にある碗里,拉麵湯汁還剩不少。

「具は全部食べたからスープはいいかな」  「菜都吃完了,湯就不用了。」
「そうなのか?」  「是吗?」
「えっ、そうだよ。日本でも麺と具は食べて、塩分が多いからスープは残すって人が多いぜ。まー、全部飲む人もいるけどな」
「啊,是啊。在日本,人们通常吃面和配菜,因为盐分高,所以会把汤留下。当然,也有把汤全部喝完的人。」

「……知らなかった。ラーメンはスープを飲むための食べ物だと思っていた」
「……我不知道。我以为拉面是用来喝汤的食物。」

 思わぬカルチャーショックを受けているカイザーを見て、世一は口元を緩める。
看到凯撒受了意料之外的文化冲击,世一嘴角微微上扬。

「ははっ、確かにこっちには汁麺って文化がないもんな」
“哈哈,确实这边没有汁面这种文化嘛。”

「俺たちからしたら、ラーメンはスープの亜種だ」  「我们来说,拉面是汤的变种。」
「面白ぇ。俺らそこそこ一緒いんのに、おまえが好きなものとか苦手なものとか初めて知ったかも」
「真有趣。我们俩关系还算不错,但你喜欢的和讨厌的东西我还是第一次知道。」

 くつろいだように笑う男を見て、今なら聞ける、と思った。
看着轻松笑着的男人,现在我终于可以问了。

「——糸師凛と何かあったのか」  ——糸师凛和有什么事吗

 退路を作らせない鋭いライナー性の質問に、世一はまぶたを見開いた。きっと開けられることはないだろうと高を括っていた扉に手を掛けられて慄いているような、それでいて、そうしてもらえるのをずっと待っていたと安堵するような表情だった。
面对那犀利的、不容退路的提问,世一睁大了眼睛。那表情,就像被强迫打开自己一直以为永远无法开启的门扉,充满了惊恐,却又带着如释重负的安心,仿佛一直期待着这一刻的到来。

 世一は困ったように眉を寄せ、唇を薄く開いた。どう話そうか、何から話そうか迷っているという仕草だ。ややあってから、ふっと力を抜くようにため息をついて言った。
世一眉头紧锁,嘴唇微微张开。一副不知如何开口,从何说起的样子。稍后,轻轻地叹了口气,放松了身体。

「——今度、凛が結婚するんだ」  ——凛要结婚了

 絶頂の果てに、世一が苦しそうに呼んだ名前を思い出す。ただならぬ感情を忍ばせた声。ほんの数ヶ月かの悪名高い監獄に身を置いていたカイザーも、糸師凛と潔世一の間にある特殊な絆のことは知っていた。常人には理解し得ないような相互補完関係。だが、フットボールを除いても残る情があることまでは気がつかなかった。
绝顶的尽头,世一痛苦地呼唤着那个名字。带着非同寻常情感的声音。即使在臭名昭著的牢狱中度过几个月,凯撒也知晓糸师凛和洁世一之间那特殊的情感联系。一种常人难以理解的互补关系。但他没想到,除了足球之外,还有其他情感存在。

「何かあったのかって、そもそもあいつとの間には最初から何もないよ」
「有什么事吗?我们之间本来就没有什么。」

 世一はうつむき、寂しげに言った。サラサラとした厚い前髪が彼の表情を覆い隠す。
世一低着头,寂寥地说。 蓬松的厚刘海遮住了他的表情。

「おまえの方から何かアクションを起こしたことは?」
「你有没有主动采取过什么行动?」

 カイザーの言葉に、世一は静かに首を振った。  「凯撒的话,世一静静地摇了摇头。」

「そばにいたらわかる。凛はフィールドにいる俺しか見てない。あいつとの関係を壊してまで、自分の気持ちを伝える勇気が俺にはなかった」
「待在身边就知道了。凛只看着我,在战场上。我缺乏勇气,连同他之间的关系都毁了,来表达自己的感情。」

 言葉尻が震え、ぽたぽたと雫が滴った。長い時間をかけて世一の中で堰き止められていた想いが行き場を失い、どっと決壊したのだ。それがこの、ごっこ遊びのような逃避行だった。
话语末梢颤抖,滴滴答答的泪珠落下。在世一的心中积压了许久的情感,失去了出口,轰然决堤。这,就是这场像过家家一样的逃亡。

 声も出さず静かに泣いている世一を見て、奇妙な感情が心の中で膨れ上がる。得体の知れない焦燥感に、カイザーはコップに注がれていた水をごくごくと飲み干した。
看着世一无声地静静哭泣,奇怪的情绪在心中膨胀。难以言喻的焦躁感,凯撒一口喝干了杯中的水。

「……おまえはそれでいいのか」  「……你这样可以吗?」
「あいつが幸せなら俺はそれでいい」  「如果他幸福,我就心满意足。」
「はっ、それはそれは。ずいぶんご立派な自己犠牲精神だな。エゴイストが聞いて呆れる」
「哼,真是了不起的自我牺牲精神啊。自私自利的人听了都要傻眼。」

 苛立って大きな声を出せば、世一は叱られた子供のように肩を揺らし目元を雑に手で拭った。むしゃくしゃする。イラついて仕方がない。今、目の前に糸師凛がいたら、なんの躊躇もなくその胸ぐらをつかんでいただろう。感情を表に出さない、冷たい顔を一発ぶん殴ってやらなければ気が済まなかった。カイザーは奥歯を噛み締め、ここにいない男を胸中で口汚く罵った。

「んなクソみたいな男はさっさと忘れろ」  「那种混蛋男人,赶紧忘了吧」
「……忘れられるかよ。10年だぞ」  「……难道要忘记吗?十年了。」

 世一は涙でまつ毛を濡らしたまま、自嘲するように笑った。傷ついたあどけない顔を見て、胸が軋むように苦しくなる。
世一的眼泪浸湿了睫毛,自嘲地笑了笑。看着她那受伤又天真无邪的脸庞,胸口仿佛被什么紧紧勒住,难受极了。

「——俺が忘れさせてやる」  ——我会让你忘记的

 熟慮もなく勝手に飛び出した言葉に、世一は「えっ」と叫んで固まった。幽霊でも見たように凍りついている。
熟虑未及,脱口而出的话语,让世一“啊”地叫出声,僵在了那里。就像看见了鬼一样,全身僵硬。

「……エイプリルフール?」  「……四月愚人节?」
「てめぇな、いくらなんでも失礼すぎんだろ」  「你太过分了!」
「いやだってさ……え? ジョーク?」  「可是……呃?开个玩笑?」
「俺がこんなジョークを言うと思うか?」  「你以为我会开这种玩笑吗?」
「それに関しては正直よくわかんねぇ」  「那方面我其实不太清楚」
「オイ」  「喂」
「いやでも——待って、今すげえ混乱してる」  「不对——等等,我现在很混乱」

 両手で頭を抱え、世一は瞬きを激しくした。その瞳の向こうで恐ろしいスピードで思考が動いているのだろう。
双手抱头,世一快速眨着眼睛。他那双眼睛里,思绪正以可怕的速度飞速运转着。

「けど、俺とおまえはただのセフレじゃん」  「可是,我和你只是炮友吧」
「まあそうだな」  「嘛,这么说吧」
「フィールドで喰いあって……んで、ときどきセックスして欲を発散してそれでおしまい。ストレスも後腐れもない合理的な関係」
「在野外打斗……然后,偶尔做爱发泄欲望,就这样结束。压力也没有后续,一种合乎逻辑的关系。」

「今まではそうだった」  「以前都是这样」
「……変わることなんてことが、ありえんの?」  「……改变这种事,怎么可能呢?」

 こぼれ落ちそうなほど大きな瞳に不安を浮かべ、世一はぎくしゃくと首を傾けた。
“泪水快要掉下来的大眼睛里充满了不安,世一慌张地歪着头。”

「むしろ人生で永遠に変わらないものなんてあるか? 適応能力のエゴイスト」
「与其说人生中有什么永远不变的东西,不如说是适应能力的利己主义者。」

「いやでも、俺とおまえだぜ? ってか、おまえが俺をそういう風に見てたってこと自体がびっくりなんですけど」
「可是,是我们两个啊?话说,你那样看我,这本身就让我很吃惊啊」

「なんせ俺もさっき気づいたからな」  「反正我也是刚才才发现的嘛」
「さっき!?!!??」  「刚才!?!!?!」

 世一は完全にパニックになって、映画『ホームアローン』の子供のように頬に手を当てている。じわじわと赤く染まっていく顔がかわいくて、胸がキュンとした。
「世一完全陷入恐慌,像电影《独自在家》里的孩子一样,用手捂着脸颊。脸颊慢慢地涨得通红,可爱得让人心动。"

「食後にクッキーをどうぞ」  「饭后请吃饼干」

 沈黙が落ちたテーブルに、皿を下げに来た店員がクッキーをふたつ置いていく。小分けのパッケージに入れられたそれは、作り損ねたパーティ帽のような、浜辺に打ち上げられた貝のような変わった形をしている。
沉默的餐桌上,服务员端走盘子时,放下了两块饼干。它们装在小包装里,形状奇特,像做坏的派对帽,又像被冲上岸的贝壳。

「フォーチュンクッキーだ」  「幸运饼干」
「フォーチュンクッキー?」  「幸运饼干?」
「中におみくじが入ってるクッキーのこと」  「装有签筒的饼干」

 世一はクッキーを袋から取り出し、ぱき、と手で割った。クッキーの中は空洞になっていて、細長い短冊のようなものが出てくる。真似をして割ってみれば、細長い短冊にはドイツ語のメッセージが書かれていた。
世一从袋子里拿出饼干,啪的一声用手掰开。饼干里面是空的,一根细长的条状物掉出来。照着他的样子掰开,细长的条状物上写着德语的字条。

「おまえのはなんて書いてある」  「你的是什么写的」

 世一は「Liebe macht blind.(恋は盲目)」と書かれた紙を見せ、「ははっ。すげー当たってやんの」と少し笑った。
世一指着写着“Liebe macht blind.(恋は盲目)”的纸,笑着说:“哈哈,真是一语中的。”

「カイザーのは?」  「凯撒的是?」
「Man weiß nie, was die Zukunft bringt.(一寸先は闇)」
「未来如何,谁也说不准。(一寸光阴,一寸金)」

「うーわ、すげー不穏じゃん」  「哇,好不安啊」
「ただのお遊びだろ」  「只是在玩而已吧」
「おまえな、おみくじバカにしたらいけないんだぞ。なんてったって運を扱うものだからな。プロのフットボーラーに天運は必要だろ?」
「你啊,可别瞧不起签语。毕竟是和运气打交道的东西,职业足球运动员还需要好运吧?」

 天運。LUCK。自分のところにボールが落ちてくる確率を上げるための巡り合わせ。
天运。运气。让球滚到自己脚下的概率变高的一种际遇。

「そんなに言うなら、俺たちのこれからを占ってみようじゃないか」
「既然这么说,那就让我们预测一下未来吧」

 カイザーは店員を呼び、もうひとつクッキーをもらえないかと頼んだ。食後のクッキーは無料サービスだが、ひとつ1ユーロで買えるという。店員はガラス製のクッキージャーを持ってきてテーブルに置き、「お好きなだけどうぞ」と立ち去った。カイザーはガラス瓶を横から吟味して、これぞというひとつを選ぶ。
凯撒叫来店员,问能不能再要一块饼干。餐后饼干是免费的,但单块要一欧元。店员拿来一个玻璃饼干罐,放在桌子上,“随便吃”说完就离开了。凯撒从玻璃罐侧面仔细挑选,最终选定了一块。

「すげぇ真剣な顔してんじゃん。PKかよ」  「你表情好认真啊,要 PK 吗?」
「おまえはちょっと黙ってろ」  「你给我闭嘴」

 興味津々で茶々を入れる世一を手で追い払い、カイザーはクッキーをつまみだした。はやる胸を抑えながら、おみくじを取り出す。俺にも見せろとせがむ世一の前で、せーので紙を開いた。
「兴致勃勃地插嘴的世一被他用手赶走,凯撒拿起一块饼干。抑制住激动的心情,他抽出了签。在世一催促着也要看签的面前,他一口气把纸张打开。」

「うわ、マージか」  「哇,玛吉吗」
「……クソッ」  「……该死!」

 おみくじには「Viele Mühe und kein Gewinn.(骨折り損のくたびれ儲け)」と書かれていた。つまり天は、カイザーと世一の新しい関係を支持しないということだ。
「 签上写着「Viele Mühe und kein Gewinn.(骨折り損のくたびれ儲け)」 。也就是说,上天不支持凯撒和世一的新关系。」

「もう1回やる」  再做一次
「は? それってズルくねえ?」  「啊?那不是作弊吗?」
「うるせえ。ストライカーが勝ちにこだわって何が悪い」
「吵死了。斯崔克坚持赢有什么不好」

 カイザーはもうひとつクッキーを選び、おみくじを取り出す。だが、続く結果は惨憺たるものだった。
凯撒又选了一个饼干,抽出一支签。然而,接下来的结果令人沮丧。

 Ein Unglück zieht ein anderes nach.(不幸は別の不幸を連れてくる)
不幸を引きずる不幸。

 Ein Unglück kommt selten allein.(弱り目に祟り目)
祸不单行。

 Aus dem Regen in die Traufe.(一難去ってまた一難)
一雨淋漓,又遇风雨。

 引いても引いても不吉なメッセージしか出てこない。
 拉也拉也,只出现不吉利的短信。

「いったいどうなってんだ、どこが幸運(フォーチュン)クッキーなんだよ」
「到底怎么回事,哪里是幸运饼干啊」

「っくは、無理、面白すぎ。もうそのへんにしとけって」
「这不可能,太有趣了。现在就到这儿吧。」

 不幸のメッセージを積み上げるカイザーに、世一はついにテーブルに突っ伏して笑い始めた。背中を震わせ、目尻から涙を流して笑っている。ここまで来たら、もう後には引けない。カイザーは腕まくりをして運試しに挑んだ。
凯撒接连收到不幸的消息,世一终于趴在桌子上笑了起来。他背脊颤抖,泪水从眼角滑落,笑个不停。到了这一步,已经没有退路了。凯撒卷起袖子,孤注一掷地挑战。

 こんなに決まらないPK戦もなかなかないだろう。瓶に20個ほど入っていたクッキーを駆逐し、残るは最後のひとつとなった。乱れていた心を整えるため、ふーっと息を吐き出して、最後のクッキーを取り出す。
这样的 PK 战,还真是少见。瓶子里原本有二十几个饼干,现在只剩下最后一个了。为了平静一下乱糟糟的心情,呼出一口气,拿起最后的饼干。

 テーブルの真ん中で頭を突き合わせ、カイザーと世一はクッキーが告げる最後の神託を覗きこむ。そこには、「Jeder Topf findet seinen Deckel.(どんなポットにもぴったりと合う蓋がある)」と書かれていた。カイザーの執念がついに運を手繰り寄せたのだ。
桌子中央,凯撒和世一凑在一起,看着饼干上最后的神谕。上面写着:“Jeder Topf findet seinen Deckel.(每个锅都有合适的盖子。)” 凯撒的执念终于引来了命运。

「ポットとフタ? 何これどーゆー意味?」  「锅和盖?这是什么意思?」

 あまり聞き馴染みのないドイツ語の言い回しだからか、世一は首を傾げている。カイザーはテーブルの上に残されたポットの蓋をつまみ上げる。
因为不太熟悉的德语表达,世一歪着头。凯撒拿起桌子上剩余的壶盖。

「おまえとあのクソ(タン)の人生は交わらなかった。それは、糸師凛はおまえにとってはぴったり合う蓋じゃなかったってことだ」
「你和那个该死的舌头的人生没有交集。那是因为,糸师凛对你来说不是合适的盖子。」

 手を下ろすとぴたりと蓋はハマった。カイザーは勝利の笑みを浮かべる。
手放下,盖子恰好合拢。凯撒露出胜利的笑容。

「——俺がおまえの蓋になってやる」  「——我罩着你。」

 世一は目をまん丸にして、それから「なんだよ、その絶妙にだせぇくどき文句!」と言って楽しそうに吹き出した。
世一瞪大了眼睛,然后“哎呀,这句妙到毫巅的撩拨话!”笑着喷了出来。










◎メモ  ◎备忘录

ミヒャエル・カイザー(29)  米夏尔·凯撒(29)
バスタード・ミュンヘンのFW。世一のセックスフレンド。
巴斯特德·慕尼黑的 FW。天下第一的性爱伙伴。

身体だけの付き合いだと割り切っているつもりが振り回されている苦労人。
以为只是肉体上的交往,结果却深陷其中,苦恼不已。

自分の腕の中にすっぽり入る世一の抱き心地を気に入っている(実は顔も好き)。
喜欢自己怀中那个天下第一的拥抱感觉(其实也喜欢他的脸)。

熱いものを食べると疲れる。  吃热的东西会让人疲惫。

潔世一(27)  洁世一(27)
バスタード・ミュンヘンのFW。  巴斯特德·慕尼黑的 FW。
監獄で出会った糸師凛に長い片思いをしている(凛とはただの友人)。
监狱里遇到糸师凛,对她暗恋已久(凛只是普通朋友)。

凛が結婚することになり、気持ちを整理中。  凛要结婚了,正在整理心情。
カイザーはただのセフレだが、心のどこかで気を許している。
凯撒只是个炮灰,但心里却不知不觉地放下了戒备。

熱々のものをフーフーして食べるからうまいんでしょーが!
热乎乎的吹着吃才好吃嘛!


夹书签
フォーチュンクッキー  幸运饼干
「どこへでもいいから俺を拐ってくれ、カイザー」  「无论去哪里,都把我拐走,凯撒」

未来if /BM所属のカイ潔。友人である凛への恋心(凛←世一の片想い)を清算しようともがく世一と、彼のそばにいるセフレのカイザーがカーセックスする話。一部、不穏な話をしていますが2人とも元気です。シリアスからのハピエン。
未来 if/BM 所属的凯洁。为了了结对朋友凛的爱情(凛←世一单恋),世一挣扎,而他身边的情人凯撒与他进行车震。部分内容略有不穏,但两人都元気。从严肃到 HE。


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R-18腐ルーロックカイ潔腐ルーロック小説300users入り
R-18 腐 露洛克 凯洁 腐露洛克小说 300 用户入
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2025年1月30日晚上11点34分
砂原 粒
评论
星野凝
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